にんぎょの筺

Case.3 Lolita

「VRChatを始めてよかったこと……とても個人的なことなのですが、私は好きな姿になれるのがとにかく嬉しかったと思います。  フレンドのVRCに関する日記を読んだり話を聞いたりしていると、気の合う友達ができたことという感想が多いという印象があります。私の中でもそれはとても大きな比重を持っているのですが、私の人生の中で果たした役目の大きさで言えば、アバターに関することがいちばんになりますね。  私は、もともとお洋服が好きなんです。それも、コンサバ系の服やファストファッションではない、サブカルチャーの中で育まれてきたファッションが。具体的に、雑誌の名前を挙げて言うと……KERA系の服。パンクやゴシックなんかも着ましたが、最も心を奪われたのはロリィタでした。ロリィタはご存じですか? そう、映画『下妻物語』で深キョンが纏っているファッションですね。ロココのお姫様をアイドルとして造形されたデザインのドレス、と言えば分かりやすいかと思います。そう、頭にはヘッドドレスを載せ、フリルたっぷりのブラウスの上にリボンとレースで飾られたジャンパースカートを着て、脚は上品に白タイツで包み、厚底のバレリーナシューズを履いたスタイルが王道です。最近の流行は追っていないので分かりませんが、〇〇年代のロリィタといえばこういう服装をした子がたくさん原宿の竹下通りを歩いていたらしいです。今ではKERAはないですし、原宿もすっかり様変わりしてしまったようですが……。そのぶん、サブカルファッションの要素は現在のファストファッションに取り入れられたという印象があります。量産型女子と呼ばれる子たちの服装を見ると、みんなも本当はこういう格好をしたかったんじゃないか、と思うことがあります。多様性の時代ですね。いいことです。  ああ、私の話をしましょうか。こんなふうに昔のサブカルファッションについて語ってはいますが、私自身は当時がっつりその世界に浸れたわけではなかったんです。生まれも育ちも東海の田舎の私が地元でロリィタなぞ着ようものなら、奇異の目で見られましたし、電車では隣の席に人が座りませんでした。すれ違いざまに笑われたり、心ない言葉を浴びせられたりしたこともあります。ロリィタを着ているときに街で学校の女の子たちに遭遇してしまったときの、彼女たちの目! 彼女たちはひそひそと囁きあい、私を遠巻きに見て声をかけることもありませんでした。私も、逃げるようにその場を去りました。  それに、なにより、自分にロリィタが似合っているという自負を持つことができませんでした。リアルアバターの話になってしまいますが、私は色黒で、目が小さく、顔は下膨れで、背も低いんです。雑誌に載っているモデルさんのような、西洋人形のような出で立ちにはほど遠い。そうなると一生懸命メイクやダイエットで理想の外見に近づこうとしますが、当時はパーソルナルカラーなんて概念のない時代です。西洋人のような白肌に近づこうとファンデーションを重ねれば、お岩さんのようなのっぺりした顔になり、逆に不自然でした。ダイエットをすれば体調を崩し、肌は荒れ、一時的に摂食障害にもなりました。  このようにお洋服を着こなすための努力を、自分なりに重ねてはいました。街で嗤われようとも、お洋服という心の鎧がその呪いを跳ね返してくれることを信じて、ロリィタを着続けました。けれども、ある夜それは決壊してしまったんです。  明日着るコーディネートを考えながらお部屋でお洋服を合わせているときのことでした。突然、鏡の中の自分が、似合わない服を押し着せられたかのような、小太りの田舎娘に見えたのです。はて、このダサい女は誰だろう、と一瞬目を疑いました。それだけならまだいい。この美しい宝物を手にしたいと、慣れないアルバイトをして買った大事なお洋服すら、お遊戯会の大袈裟な衣装のように見えたのです。愕然とすると同時に、やっぱり、という諦観が私を支配しました。私はモデルさんではない。西洋人形のようにもなれない。それでも自分なりのかわいいを身にまとった私は、勇敢なファッショニスタだと今日まで信じてました。けれども、本当は……。こんな滑稽な姿では、見知らぬ人に笑われたりして当然です。身の程知らず。勘違い女。『痴人の愛』でナオミが猿と嗤っていた白塗りの女は、こんな感じだったのかしら。私は自分にとってのかわいいが似合わない自分を直視し、泣きました。  自分の好きなお洋服を着ることは、自分のなりたい姿を、心の内側を、衆目に晒すことなんです。自分の好きを貫くこと、それは世界との、自分との戦いで、私はそれに負けました。お洋服は素敵です。私の好きなものは私の世界でいちばんの輝きを放っています。でも、どうしたってそれに私は見合わない。触れればその輝きを汚してしまう宝石。この私が好きなお洋服を着ることは、お洋服に対して失礼なことだとしか思えませんでした。敗者であることを自覚した私は、大切なお洋服をクローゼットの奥にしまい込み、何年もの間、取り出すことはありませんでした。  大学にはファストファッションの服を着ていき、地元の会社に就職してからはもっぱらコンサバ系の服を選びました。このころになると、自分のお洋服への情熱は若いときの一時の過ちなのではないかと考えるようになっていました。テレビに映ったサブカルファッション特集を見た家族に『あなたはあんな服が好きだったよね』と言われれば、『似合わないのに恥ずかしいことをしたわ』、と自嘲を込めて返しました。テレビの中の女の子たちは、それはそれは完璧にお洋服を着こなしていました。私にあれを着る資格はなかった。胸がちくりと痛み、私はさりげなくチャンネルを変えました。  それからもう数年たったころ。私は乙女ゲームにはまっていて、その近世ヨーロッパを舞台とした華やかな世界観に魅了されていました。男の子がかっこいいのはもちろん、ヒロインの女の子もかわいいのです。素直で頑張り屋の彼女が咄嗟に見せる勇気や芯の強さ。なにより美麗なスチルで垣間見える彼女のファッションに、私は惹かれていました。パステルカラーの愛らしいドレス。柔らかそうな布をふんだんに使ったネグリジェ。やはり自分はこういうものが好きなのだと、このときには懐かしさとともに感慨深く思えたものです。  VRChatとの出会いは、ささいなことからでした。この乙女ゲームのコスプレをしているコスプレイヤーさんをTwitterでフォローしたことから彼女と交流がはじまり、やがて彼女に紹介してもらったVRSNS、それがVRChatだったのです。

 そのころ私たちは乙女ゲームという共通の話題に端を発し、他のゲームについてもDiscordで通話をする仲になっていました。ですから、彼女が週に何回かログインしては遊んでいるVRChatについて話すようになるのは自然なことでした。  私は初め、VRSNSというものについてその概念を理解できずにいました。 『これはゲームのスクリーンショットではないの? MMORPGとは違うのかしら』  ある夜の通話で、彼女が送ってきてくれたスクリーンショットを見ながら、私は問いました。スクリーンショットには幻想的な空間に立つキャラクターたちが、カメラにピースサインを向けて写っています。彼女は軽やかな声で否定しました。 『感覚としては、実際に自分がその景色の中にいる感じ。デスクトップモードだとあまり実感は湧かないけれど、HMDをかぶれば自分がこのキャラクター……アバターの姿をそっくり着た状態で、この仮想世界に立つことができるの』 『このゲームはなにが目的なの?』 『いろいろだよ。ただ雑談するだけでも楽しいし、きれいなワールドを散策したり、アクションとか、RPGとか、ゲームをしたりすることもできる。なにができるかは、ユーザーとワールドに依存するの。アバターも自分でアップロードできるし、自由度の高いところがVRChatの魅力かな』 『そうなの。ところで、この狐耳の大きなお乳の女性があなた?』 『ううん、それはフレンド。私はこっちの、水色の髪の青年のアバターだよ』 『わ、聞いてみたら納得だわ。乙女ゲームのキャラクターみたい』 『そう。アバターは自分の性癖を込めて改変することができるの。あなた、乙女ゲームのヒロインのデザインが好きだって言ってたよね? そういう改変もできるよ』 『あら、それはとても……』  魅力的。私の声はよほどうっとりと響いたのでしょう。彼女はすっかり乗り気になったようで、はきはきと言いました。 『デスクトップモードならある程度のパソコンのスペックがあれば今からでもできるよ。あなたが使っているのはどんなパソコン?』  私は少しがっかりして息を吐きました。 『ネットサーフィン用の安いものよ。クリスタも動作が重くなることがあるし、たぶんVRゲームなんてできないわ』 『それは残念。じゃあ、今度私が前に使っていたHMDを送るよ。旧型だけどPCなしでVRゲームできる性能がある。あげてしまってもいいんだけれど、それではあなたの負担になるだろうから』  彼女の優しい申し出に、私は申し訳なさと有り難さの入り交じった気持ちを覚えました。そして同時に、どうしてここまでしてくれるの? という疑問も。 『ありがとう。なにかの形でお礼はするわ』 『お礼なんていいよ。この世界に来てもらえるだけで嬉しいから』  本当に、心から、それを望んでいるとはっきり分かる温かな声で、彼女はそう言いました。このときの彼女の気持ちが、今ではよく分かります。私はインターネット上の出会いに感謝しました。  果たして一週間以内に、その黒いファブリックで覆われたHMDは届きました。丁寧に、しかし使い込まれたと分かるコントローラーはぴったりと私の手のひらに収まりました。私は胸を高鳴らせ、早速彼女に荷物が届いた旨を伝えます。ちょうどその日は彼女も私も仕事は非番で、余裕を持ってゲームのチュートリアルを済ませる時間がありました。  Discordを繋ぎながらアカウントを作り、ゲームをインストールし、彼女の『じゃあ、向こうでまた会おう』という言葉を最後に、通話は切れました。私はどきどきしながら、指定されたワールドのインスタンスに入りました。 『ようこそ、VRChatへ!』  白と紫を基調としたワールドが読み込まれると、彼女の朗らかな声が聞こえました。その声は目の前の衆目美麗な青年のアバターから発せられたもので、けれどもここでは初めて会う姿だというのに、私にはそれが彼女だと、はっきり分かったのです。  彼女は文字の書かれた壁の前を巡りながら、丁寧に私にVRChatの機能について説明してくれました。途中、明るい電子音とともに、彼女のフレンドだというユーザーが何人も部屋に入ってきました。  うち一人は、彼女が説明に詰まっていると、さりげなく助け船を出していました。彼は露出の高いツンとした印象のアバターこそ着ていましたが、物腰が柔らかく、彼女と話している様子を見ればいい人だということが分かりました。 『あなたは、どうしてVRChatを始めたんですか?』  友人の説明が一区切りついたあと、彼が私に問いました。私は少し考えを巡らせて答えました。 『ここなら自分の好きな姿になれると聞きまして……』  彼はにこやかに頷きました。 『いいですね。どんなアバターがお好みですか?』  これがリアルで発せられた質問であれば、私は自分の趣味趣向を口にするのを躊躇ったでしょう。初対面の他人なら尚更。けれども、ここではそのような世間に対する遠慮は持たなくてもよいことを、周囲の今では名前が黄色プレートになったユーザーたちの姿を見て理解していました。 『ふんわりとしたドレスを着ている子がいいです』 『あーじゃあこの子とかどうかな』  間延びした声で言ったのは、別のフレンドでした。ゴシックパンク調の服を着た彼が空中で手を動かすと、一瞬のロード画面のあと、黒いドレスを着た少女が現れました。シックなドレスの襟元には黒いリボンがあしらわれ、背中には小さな白い翼が生えています。私は嶽本野ばらの小説の主人公を思い出し、すっかり嬉しくなりました。 『かわいいですね。その子、好きです』 『ビームを当てて、メニュー画面のClone Public Avatarでコピーできるよ。やってごらん』  果たして言われたとおりにすると、私の視線は低くなり、無機質なロボットのものだった手は白い少女のそれに変わっていました。おお、と私は内心感嘆の声を上げました。 『鏡を見てもいいですか?』  私は物怖じすることを忘れて、その場にいる人々に聞いていました。するとさきほどの物腰の柔らかな彼が、この先に、と案内してくれました。 『こちらの階段を下りてください。酔わないように、ゆっくりでいいですよ』  注意深く降りていった階段の先で、私がキューブをクリックすると、奥のスペースに巨大な鳥籠が現れました。友人によると、ここで撮ったスクリーンショットをTwitterでタグをつけてツイートをすると、VRChatユーザーから多くの反応がもらえるとのことでした。私はフレンドたちに促されて、その鳥籠の中に立ちました。 『今日の主役はあなただから、真ん中に立って』  隅の方にいた私に、そう友人が声をかけます。私はおずおずと、鳥籠の中心に立ちました。鏡に映るドレス姿の少女は、現実の私と同じく胸の前で手を合わせ、硬い表情をしています。ああ、確かにそれは私でした。初めて会った人々に囲まれ緊張こそしているものの、この世界に一歩を踏み出した喜びに胸を高鳴らせている私! 頭の上に浮いた電子の輪は、天使のそれに見えました。この世界で私は、天使の姿をとれるのです。  その場にいる人々が鳥籠の中に収まったことを確かめると、友人が言いました。 『じゃあ、写真を撮ろっか。あなたは、Facebookのスクリーンショット機能を使って撮ってね。やり方は……』  そうして撮ったスクリーンショットは、私の宝物になりました。鏡の中で微笑んでいるのは、端正な顔に似合いのドレスを纏った、美しい機巧少女のアバター。その周りを囲む、友人と、思い思いのアバターを纏った親切な人々。  一瞬が永遠となるとは、まさにこのことだと思いました。  一夜明けて、興奮冷めやらぬ私は通話で友人に言いました。 『まるで夢のようだったわ。こんなに楽しい世界が、すぐそばにあったのね。明日からの仕事がいやになっちゃう』  彼女は笑って返しました。 『夢じゃないのよ。舞台は仮想空間だとしても、すべては現実の世界で起こっていることなの。あなたのお姫様になりたいっていう夢だって叶えられる。全部はこれから、はじまるんだよ』  そのときの私はすでに、彼女の言葉をすっかり理解できるようになっていました。なりたい姿を思い描く意志がそのまま力になる。理想を現実に変換する力。リアライズ。大人の世界で諦めかけていた少女の夢が、再び息を吹き返すのを感じました。  これから先、インターネットですから様々なトラブルもあるでしょう。けれども今この瞬間の感動は曇ることはないという、予感がありました。  それはきっと私がVRChatを辞めたあとも、覆されることはないのです。

 ええ、今では私も友人と同じPCユーザーです。HMDを借りて一ヶ月ほどして、私はフレンドの指南のもとゲーミングPCを購入しました。コロナ禍の影響で趣味の観劇や同人誌即売会のため出かける機会も減り、資金には余裕がありましたから。HMDも友人に返却して、新しいものを買いました。機種は彼女と同じ、Quest2。HTC社のものにしてもよかったのですが、Questユーザーの方々と繋がっていたい、Quest用アバターをアップロードしたときに自分でテストしたいという思いがありましたから。  あれから私はすっかりVRChatの世界にのめり込み、アバターもずいぶんお迎えしました。フリルやレース、リボンのあしらわれたお洋服を着ている子を見ると、すぐにお財布の紐が緩んでしまうのです。BOOTHやアバターミュージアムには素敵なアバターの多いこと! 自分がこれを手にすることができるのだという喜びもありますし、こういったものを愛する人々が確かにいて、アバターを通じてゆるやかに繋がれることにはいつも感謝しています。  最初はチュートリアルワールドで試着した機巧少女を改変して着ていました。ドレスの色は真っ白にして、テクスチャにはフリルやリボンを描き込みました。次は球体関節人形の少女。中学生のころに読んだローゼンメイデンを思い出して懐かしくなったものです。次はこの猫耳のついたメイドの女の子。ロリィタではありませんが、ダイナミックボーンの入ったスカートの動きがきれいで買ってしまいました。それから……。  ああ、こんな話をしていてはきりがありませんね。最近はこの子、アリスの名を冠するアバターに、シャボタイつきのシャツを着せ、ダブルボタンのコルセットスカートを穿かせています。背中側からは真っ白なパニエが覗いているんですよ。ふふ、昔のエクサントリークを意識しました。バッグや日傘といった小物も仕込んであります。ほら、こんなふうに……。  写真を撮っていただけるのですか? ありがとうございます。VRChatにいると原宿を歩いていた女の子たちもこんなに撮られなかっただろうというくらい、スナップを撮っていただけて嬉しい限りです。リアルでコスプレ写真を撮っていたという方にポートレートを撮っていただいたり、ファッション雑誌の編集をしていたという方にコーディネートを褒められたりしたこともあります。そのときは、私の青春は無駄ではなかったのだと思ったものです。雑誌を読み、スナップに写ったファッションを研究し、野ばら先生や大槻先生のご本で心を磨き、お洋服に思いを馳せていたあの時間、あの情熱は、決して葬るべきものではなかったのだと。  渋谷を模したワールドを友人と歩きました。パステルカラーのお部屋でフレンドとパーティーをしたり、アバターの改変を見せ合う集会に行って刺激を受けたりしたこともあります。気の合うお友達とローズガーデンでお茶会。寂れた洋館で主人とメイドごっこ。ときには妖精の棲みそうな神秘的な森や、海の底の遺跡を探検しました。それらすべてで、私の大好きなロリィタのお洋服を、ロココのお姫様のドレスを、乙女ゲームのヒロインの衣装を、纏って過ごすことができるのです。  こんなことが、人生にはあるのですね。  誰にも認められなかった私のファッション。自分だけでは守れずに捨ててしまった夢に、誰かが光を当ててくれたことで、いつの間にかそれが叶っていた。きっとこの世界では、珍しい体験ではないのでしょう。終わらない放課後で得られなかった青春を取り戻す。なんて、青臭くて、得難い日常でしょう。  会社では地味な事務員服を着ています。外には相変わらずユニクロを着ていきます。現実の私は野暮ったいアラサー女です。でもここでの私は、エクサントリークの、BABYの、イノセントワールドの、アトリエピエロの似合う女の子なのです。そしてその本質は、現実であり揺るがない。いつでも内ポケットにキティちゃんのボールペンを忍ばせているような、心のロリィタなのです。  最後までお話を聞いてくださりありがとうございます。これで答えになっていますでしょうか? ああ、そんな嬉しいお言葉まで……。やはりかわいいと言われるのが、いちばんですね。あなたもぜひ、自分のかわいいを貫いてください。それは必ず、あなたを支える力になりますから。  なんでしょう? 初心者案内で私がお世話になった物腰の柔らかな……マテリエさん? ああ……彼はあのコミュニティの中心的人物で、お世話になった初心者も多いと聞いています。そうですね、三ヶ月ほど前に出回ったツイートをきっかけに、VRChatからもTwitterからも姿を消してしまった……と認識しています。あんなことをされる方には見えなかったのですが……。  ツイートの真偽はどうあれ、私自身は彼に親切にしていただいた身です。戻られたら、できるだけ味方はしたいと思っています。  はい、こちらこそ本日はありがとうございました。編集の際分かりにくかったところがあればいつでもご質問ください。たぶんブランド名など初めて聞くものでしたでしょうから……。それでは失礼いたします。お疲れさまでした」

 編集メモ:

 ロリィタファッションをまとったアバター。ロリ『ィ』タという表記にするよう本人から指示(彼女の属する文化圏において重要なことと思われる)。  雑誌やブランドの名前について正誤がないか後ほど確認する。  VRChatterの中には、自分の望んだ姿になったところで救われなかった者もいるため、彼女は大きな成功例といえよう。  マテリエのよい思い出を聞けたことも収穫だった。彼に味方する者は確実にいるのだ。  あのときも、私たちは彼の側にいた。それなのに、どうしていなくなってしまったのか。

#VRChat #はじめてよかった!VRChat体験談集※この物語はフィクションです #短編